今日は2つ記事をあげる予定です。
まずはレポ、ようやくゴールします。
後日、ゴール後の状況と総括的なものをお送りして終わりたいと思います。
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前回まで
サロマ湖100kmウルトラマラソンふりかえり【その1】レース前日
サロマ湖100kmウルトラマラソンふりかえり【その2】スタート!
サロマ湖100kmウルトラマラソンふりかえり【その3】スタート~20キロ
サロマ湖100kmウルトラマラソンふりかえり【その4】20~54.5キロ
サロマ湖100kmウルトラマラソンふりかえり【その5】54.5~79キロ
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79キロのエイドを過ぎるとワッカ原生花園に入ります。
いよいよ、ワッカです!
ワッカとはなんぞやということで少し説明します。
網走国定公園ワッカ原生花園は、幅200m~700m、長さ20km、約700haにおよぶ国内最大規模の海岸草原(原生花園)で、その歴史は更新世紀(2百万年~1万年前)に海中に途切れ途切れの段丘がつくられ完新世(1万年~6千年前(縄文前期))の縄文海進後に成長したサロマ湖(海跡湖)の砂州の隆起により現在の姿が完成し、一本の砂州(海中へ細長く突き出した砂地)が延々と続くまさに太古の贈り物です。
まさに楽園。
っていうのは天気がよれければねっっ!
ランネットである人はワッカを「ランナーの墓場」と評しました。
そのワッカに突入します。
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79キロのエイドを過ぎて、まずは林道を走ります。
いきなり結構な上り坂。
でもあと少しで終わりだと思うと、テンションがあがってきました。
折り返してきたトップレベルのランナーとすれ違い、「ナイスラン!」と声をかけます。
にしても、すれ違うランナーが速いったらありゃしない。鉄人ですね。
するとまもなく80キロ地点。
80キロ通過 7:37:21
OK、OK。歩かないで走り続ければサブ10いけるはず!
気持ちを新たにします。
しばらくいくと、林道を抜けます。
そして目の前に広がるのは、左手にサロマ湖、右手にオホーツク海の大海原!
これぞ雄大すぎる自然!
遮るものは一切ありません!
荒れ狂う波の轟音とともに、雨風が吹き荒れてます!
う・そ・だ・ろ
聞いてない、聞いてない、こんなの最後にあるって聞いていない。
向かい風が強い雨とともに身体を襲ってきます。
そして、想像以上に大きい小刻みのアップダウン。
身体が前に進まない。
すれ違うランナーへ声がけをする余裕は全くなくなりました。
っていっても、2,3キロで終わるよね、さすがにここを10キロ以上走るとかってそんなバカなことないよね。
復路のキロ表示を振り返って見ます。「あと4キロ」。
うわうわうわうわ、片道だけでも7,8キロあんじゃん。ざっくり2時間弱かかるじゃん。
ありえない、ホントありえない。
てか、何なの、マジ何なの。
ここまでがんばってきてさー、ここから沿道の応援もなく、お楽しみエイドもなくさー、どうやって走れっていうの?何を希望に走れっていうの?
こんな仕打ちってある?
こんなのただのいじめ!
別にワッカを通らなくても100キロコースできるっしょ。
許さない。
僕はワッカをコースに入れた人間を絶対に許しません。
あと、AO入試で大学に合格した人も許しません。
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一気にペースが落ちます。
それまで維持していた6’00ペースが6’30ペースに。6’30を維持することも困難になってきました。
大きな水たまりも点在しています。
すれ違うランナーがいると、浅いところを通りたくても通れません。
避けられない池のような水たまりにはそのまま突入します。
シューズは完全に水没します。
とにかく向かい風が強い。
寒い、寒すぎる!
あー絶望しかない。
ただ、20キロの折り返しがそうだったように、折り返しさえすれば必ず追い風になる。
とにかくそれまで堪え忍ぶしかない。
下り坂では右膝が強く痛みます。
上り坂はもう歩きたくて仕方ありません。
それでもここまでエイド以外、脚を止めずにきました。
走り続けたい。
上り坂だから歩こうと1度でも妥協したら、際限なく歩き出すことの方が怖い。どんなにペースが落ちても脚を動かし続けます。
寒くて仕方なく、ウィンドブレーカーの袖口を引っ張って両手を覆います。
GPSウォッチも一緒に覆うので、折り返しまでペースはもう見ません。
ところどころでスタッフさんがせわしなく連絡をとっています。
リタイヤの人が続出していることは容易に察しがつきました。
85キロ付近にエイドがあります。
こんな過酷な環境の中、対応してくれるボランティアさんには本当に感謝です。
リボンナポリンがあります。
北海道だから外せないよね、ということでほんの1口いただきます。
炭酸がおいしい。
あたたかいお茶もあります。
あったか~い
少し気持ちが落ち着きました。
この先トイレはほとんどなく途中で催したらまずいと思い、8回目のトイレへ。
トイレに入ります。
「うっ」
床に排泄物が散ってます。
壮絶過ぎる。
あまりの寒さでお腹を下したのでしょう。床を何とか拭いてこの状態と思われます。みな極限の状態です。
用を足した後トイレの中で、腰ポケットに入れていたアームカバーを腕につけます。これで少しでも寒さをしのぎたい。低体温症だけは絶対に避けなければ。
ーー
トイレを出ます。
なんて寒さ!
雨と風はさらに強さを増しているようです。
走り始めるというより、脚を動かし始めます。
脚を動かし始めたその時でした。
プルプル・・・
唇が少し震え始めます。
プルプルプルプル・・・
その震えは唇から顎へ、そして全身に広がります。
ブルブルブルブルブルブル・・・
それは大きな震えにかわりました。
寒い
やばい
ガタガタガタガタ・・・
震えで歯が鳴ります。
脚がもはや進んでくれません。
なんでなんで、温かいお茶飲んで、アームカバーもつけたのに。
そうか、おしっこで体温が低下したのか。
なんでもっとしっかり寒さ対策をしなかったんだ!バカ!
自分を呪います。
今まで経験のない状況にパニックです。
ウィンドブレーカーのフードをかぶります。
背中の方でからまってうまくかぶれません。くそっ
容赦なく吹き付ける風。
何とかフードをかぶりましたが、なお震えはとまりません。
体力は限界。
脚全体が痛い。
震えがとまらない。
地獄。
もうダメかも。。
ーー
なんで100キロ走ってんの?
なんでサブ10しなきゃないの?
別にリタイヤしたって自分のことなんて誰も気にしてない。
自問自答。。
ーー
いや、そんな走る理由なんかどうだっていい!
サロマくるのに、いくらかけたと思ってんだ!
ここでサブ10しなかったら、また来年絶対サブ10してやるってリベンジしに来るに決まってる!
そんな金ないし!
何より何より、ブログでサブ10って言っちゃたし(「完走」ぐらいにとどめておくべきだった)!
こんなクソブログにもかかわらず、読者になっていただいたりコメントいただいたブロガーさんの応援に応えたい!
僕はサブ10をするためにサロマに来た!あと旭山動物園
大きく息を吸って、はきます。
落ち着け、落ち着け。
補給はしっかりやってきた。身体を動かせば、いずれ回復するはず。脚をとめたらこのまま身体が冷え切って終わり。
雪山だったら、寝たら死ぬぞ!
ワッカだったら、脚をとめたら死ぬぞ!
必死で身体を動かします。
震える身体を必死でバタつかせます。
後続ランナーにどんどん抜かされます。
ーー
「折り返しまで1キロ」
ひたすら腕と脚を動かし続けました。
脚は止まることなく動いてくれました。
やった。もう終わる。もう少しで折り返し。
表示を見て気持ちに余裕ができました。
気づくと震えはおさまっていました。
やー、危なかった、ホントにダメになるかと思った。
そう思ったのも束の間、遙か前方に、とてつもなくでかいコンクリートのかたまりが目に入ります。がっつり傾斜のついたビッグブリッジがそびえたっています。
うそうそ、あそこまで行く気ー?
なんであんなでかい橋つくるわけー
まさしく、それはラスボスでした。
90キロの関門を右手に脇を通過した後、ラスボスに立ち向かいます。
脳内BGM!
橋を上ります。とにかく傾斜がきつい。
ただ、心なしかまわりのランナーは勢いよく駆け上がっているかんじがします。
みなそれぞれのラスボスソングがあるんでしょう。
逆にテンションがあがっている気がします。
上り終えると、上った分を一気に下ります。右膝が痛てーー
橋を下るとすぐに折り返しです。
ラスボス折り返し。
脳内BGM2発目!
また上ります。脚は動きます。腕を振って坂を上ります。
上りきったところで、また下ります。右膝痛てー
ここを乗り越えれば終わりだという気持ちからでしょうか、なんつーでかい橋だと恐れおののいていたラスボスは案外すんなり終わりました。
ラスボスを攻略すると90キロ地点。
5キロごとにとっていた手動ラップをとるべく、手を覆っていたウィンドブレーカーの袖を引きます。
GPSウォッチの画面が消えています。
電池切れ。途中で計測法切り替えるの忘れてた。
ありがとう、GPS!
君のペース管理でここまでこれたよ。
あと10キロ、自分の力で走りきる。
関門の時間表示は、
90キロ通過 8:44:25
いける!サブ10いける!
ここまで来たら脚がつぶれる気がしない!
ジェルを投入。
予想通り風は追い風にかわりました。雨も弱くなりました。
風が背中を押してくれます。
背中に吹き付ける風が冷たく感じますが寒気はもうありません。
ラスト10キロ、まわりのペースがあがります。
自分もペースが上がります。
そうか、自分はこうやってまわりのランナーに引っ張ってもらってきたんだな。
正直、5月末に走ったチャレンジ磐梯吾妻スカイラインのときのように、ランナー同士で走りながらお話ししたりすることは今回ありませんでした。それだけ自分も含めてまわりのランナーはタイムを狙って黙々と走っていたわけですが、まわりのランナーの走りに鼓舞されてここまで走り続けることができました。
ワッカは沿道の応援こそありませんが、ランナー同士が、お互いの走りで励まし合って乗り越えるものなんですね。
復路。往路ではなかった光景が続きます。
銀紙のような防寒シートにくるまれた人が多数います。
まさしく「ランナーの墓場」。
収容車が何台かやってきては道路をふさぎます。
あいかわらず、水たまりでシューズが水没します。
しかし、復路に入って元気を取り戻したランナーはもろともしません。
残りのキロ表示板の色がそれまでの青色から赤色にかわります。
よし、もう終わる、何とかなる!
ラスト10キロは本当に短く感じました。
林道に入り、「残り3キロ」の表示。
脚も身体ももう限界のはずですが、脚は動きます。
どこにそんな体力が残ってたんだと、とんでもなくペースが上がる人もいますが、それにはついて行けません。
林道を抜け、79キロのエイドに戻ってきました。
ワッカ終わったー
あとはフラットな道がゴールまで続きます。
残り2キロ。
100キロ長かった。もう終わる。早く終わって。
残り1キロ。
ゼッケンが見えるように、ウィンドブレーカーを脱いで腰に巻きます。
ゴール会場までの直線道路。
走り始めて4年。
はじめて出た大会は10キロでした。
運動音痴で走るのも嫌いだった自分が今100キロ走ってる。
感慨深くなって少しこみ上げるものがあったりなんかして。
吹奏楽の演奏が聞こえてきました。
GReeeeNのキセキです。
これはまさにキセキ。
僕が住んでいる福島県郡山市の某大学でGReeeeNは結成されたんです。
ちなみに、名物に乏しい郡山は、GReeeeNにあやかりグリーンカレーをご当地グルメとして売り出しているんですが、ほとんど認知されていません。
僕が郡山からの参加と分かって、ゴールに近づいてきたから演奏してるんですね、これは。
サロマのスタッフすごすぎるぜ!
道路を右に曲がり、ゴール会場に入ります。
ゴールは目の前!
会場のアナウンスで、ゼッケン番号と名前が読み上げられます。うれしい!
ガッツポーズを決めてゴール!
ブッチャーがしっかりゴールの瞬間をおさえてくれました。
100キロ 9:43:47
ゴール直後、完走メダルを首にかけてもらいます。
脳内BGMにエンディングの曲が流れます。
つづく(次回、ゴール後のお話しをして終わります) 。
【本日の走り】
別記事にて!