レポ続きです。
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第9回いわきサンシャインマラソンふりかえり【その1】スタートまで - ちょびの走りっこ記録
第9回いわきサンシャインマラソンふりかえり【その2】前半 - ちょびの走りっこ記録
第9回いわきサンシャインマラソンふりかえり【その3】後半 - ちょびの走りっこ記録
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30キロ通過
30キロ通過時点で、タイムは2:08:34。
サブ3ペースから約1分の遅れ。
どんどんペースが落ちてきていました。
ただ、このままキロ5ペースまで落ちても3時間10分切りでゴールはできるかもしれない、PB更新としては十分かなーなんていう思いがよぎります。
ただ、去年は最終的にキロ6ペースまで落ちたので、身体の状態からして、ちょっとでも気を抜けばキロ6ペースまで落ちてしまうと思いました。つまり、キロ5ペースを維持するのも難しいんじゃないかと。
そいうことで、とにかく気持ちを切らさずに、今走れるペースをできるかぎり維持する、キロ5ペースまで落ちないように粘る、そんなことを考えて走っていました。
10キロおきにとっていたジェル、最後のひとつ。
最後はもちろん、カフェインたっぷり、ショッツです。
30キロ過ぎの給水で流し込みます。
この前かな、ちっちゃい女の子たちのチアリーディングの応援もありました。
元気をもらって、よし、こっから、こっからー
そして、このコースで1番苦しい、通称「ふたこぶラクダ」に入ります。
まず、のぼります。
もうかなり疲れているのもあって、壁みたいなかんじです。
事前に確認していた高低図からすれば、すぐ終わるんだろうなーと思っていましたが、なかなか終わってくれません。
カーブを曲がると今度は下りです。
上りで落ちたペースを下りで取り返します。
ここで、ブルーとオレンジのTシャツのランナーが僕の前に出ます。
そう簡単に抜かれたくないという負けん気でついていきます。
そうすると意外とついていけます。
このランナーをこの後の展開を踏まえて、オーティスと名づけることにします。
オーティスは、けっこう頻繁に時計をみています。
30キロを過ぎてもペースを落とすことなく走ってる、ちゃんとペース管理できる人だ。
こやつただ者ではない!
目標タイムはどのくらいか分からないけどオーティスについていけば間違いない。
しんどくなってきて、どこまでついていけるか分からないけど、この下りの区間はついていけるだろう。
約2キロ半の下りゾーン、ずっとオーティスについていきました。
そして、まもなく第2折り返し。来た道を戻ります。
(公式サイトより)
太鼓の応援を受けて、のぼります。
35キロ通過
30~35キロのラップ 22:19(キロ4’27)
上り坂。
ここが一番しんどいところ、でもここさえ超えればゴールまで上り坂はなし。
正念場!
脳内BGMでUVER WORLDのPRAYING RUNをヘビーローテーション。
まだ終わらせやしない
まだ止まらせやしない
さらに頭に浮かぶのは前日toshiさん(id:toshi1135)からいただいたコメント。
ランナーとしてもブロガーとしてもオッペケペ―な僕をこんなに応援してくれるなんて。胸が熱くなりました。
もうサブ3に届かないのは分かっていました。
でも、負けじゃない。挑むことに意味がある!
本当の負けは、足を止めること、妥協した走りをすること、そんな走りはしたくない。
toshiさんはじめ、日頃からブログを読んでいただいているはてブロガーさんたちの応援に応えるためにも、1秒でも早くゴールしたい!
この10週間、風が強い日だって、雪の日だって走った。むしろ天気がいい日なんてほとんどなかった気がする。雪道でこけてケツを強打したこともあった。って言いながらトレミに逃げた日もあったさ。そんなこんな全部ひっくるめて、全てはこの日のためにやってきたこと!
キツくて、タイムとかペースとか頭で考えられなくなってきて、とにかく気持ちで負けたくないという一心で走ります。
オーティスとともに、ペースが落ちるランナーを抜いていきます。
途中オーティスと並走したり、オーティスを抜いたり、でもやっぱり前に出るオーティス。
往路に目を向けると、Iさん。
「ファイトーっす!」
この頃から、だんだんゲボち悪くなってきていました。ジェルが喉元にこみあげてくるかんじです。
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話が逸れますが、ジェルの補給について。
僕は一般的なセオリーに従い、10キロおきにジェルをとって、30キロ地点では特にカフェインが入ったものをとります。
ただ、いつも思うのがこの30キロ地点でとるジェルがちゃんと吸収されてるのかという問題です。
もうこの時点になると、内臓も弱っていて吸収できているものなのかなーと。現に今回気持ち悪くなっちゃってますし、以前にもこうなったことがあります。
それでも、スタミナ切れが怖いのとカフェインの効果を信じてとるようにしています。ですが、Iさんがジェルの補給なし、エイドのフードのみで走っているというのを聞いて、それもありなのかなーと思いました。
今後、補給のしかたをいろいろ試してみたいと思います。
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そんなゲボち悪さとも戦いつつ(即吐くとか、そういう深刻なレベルではありません)、足を進めます。
カーブを曲がると上り坂終了。
あーおわったー
もう坂でしんどい思いをすることはありません。
下り坂に入り、坂に身をまかせて走ります。そして、オーティスを抜きました。
あーようやく抜いたわー
難所、ふたこぶラクダ終了。
あとはゴールにまっしぐら。
とは行かず、ここからゴールまでの約4キロが長い長い。
ゴールに近づいているのは分かるものの、単調な道が続きます。足がいよいよ上がらなくなってきます。
去年もここでガクンとペースが落ちました。
40キロ通過
35~40キロのラップ 21:57(キロ4’23)
通過タイム 2:53:36
お!3時間5分切りいける!
GPSがズレまくっていたこともあって、フィニッシュタイムをまともに考えることができていませんでいたが、40キロ通過時点で、3時間5分切りを確信しました。
いや、これで5分切りしないわけにはいかんだろうと。
絶対5分切ったる!
ゴールに向かって気持ちは高まりますが、なかなか足が前に進んでくれません。
ペース落ちるー
ダメだー身体ボロボロー
ほぼ放心状態。慣性の法則で足が動いているだけというかんじです。
ゴールまでのこり500mの表示がでました。
やった、あともう少しだ!
すると、僕の横を通り過ぎるオーティス。
なぬ!?だいぶ前に抜いてかなり差がついていたと思ったのに!
いや、でももう僕に力はありません。
一番しんどいところで引っ張ってくれて、ありがとう。
あなたのおかげでここまで走ってこれました。
一緒にがんばることができてよかったです。
あなたになら喜んで前を譲ります。
さあ、お行きなさい。
ーー
いよいよフィニッシュゲートが見えてきました。
フィニッシュゲートが見えてくれば、気持ちとともに足も動いてきます。
よし!ラストの直線!
ゴールのアナウンスとともに大きな声援に包まれています。
持てる力を出し切ってダッシュ(っていうほどの速さじゃないですけど)。
あれ?オーティスに追いついた。
オーティス抜けるじゃん。
抜く!
はい、
This is 裏切り!
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(ここからウォーキングデッドが分かる人だけに通じる話になってしまいます。すみません。)
ウォーキングデッドシーズン2、第3話。
主人公リックの息子カールが負傷。カールを救うには手術が必要。しかし、手術に必要な酸素ボンベは、ウォーカーの巣と化した学校に行かなければ手に入りません。
学校に行くことになったシェーンとオーティス。
シェーンとオーティスは力を合わせて酸素ボンベを手に入れたものの、ウォーカーの群れに追われます。
ウォーカーから逃げる途中足を負傷したシェーン。歩くのもやっとの状態。
ウォーカーから逃げるシェーンとオーティス。
シェーンがもっている銃の弾はあと残りわずか。
あと数十メートル先にある車にたどり着くことができるか。
シェーンとオーティスを次々と追ってくるウォーカーたち。
足を負傷したシェーンに手を貸しながら逃げるオーティス。
ウォーカーたちに放っていた弾はとうとう残り1発。
もうこのままではウォーカーに追いつかれてしまう。
2人とも助からないかもしれない。
その時、シェーンがとった行動は・・・
「悪いな」
オーティスの足を撃つ!バーン!
悶えるオーティス、一人逃げるシェーン
ウォーカーのエサと化したオーティス、その隙に学校を脱出するシェーン
真夜中の学校に響きわたるオーティスの叫び!
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ちょび=シェーン=クズ野郎
マラソンもウォーキングデッドも極限状態という意味では同じ世界なのかもしれません。
そんなときに人間の本性があらわれます。
自分は極限状態で平気で人を裏切る人間なのだと分かった時、自分で自分がおそろしくなりました。
とかいってー、
ま、勝負の世界ですから。
情けは無用。
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そんなこんなでゴール!
(ランフォトより)
おわったー!
コースに向かって一礼。
誘導に従って歩き始めようとしますが、膝に手をついて、しばらく動き出すことができません。
すると、視界に誰かの右手が。
え?
顔を上げると、さわやかな笑顔で握手を求めるオーティス。
お互いを讃え合って、握手するオーティスとシェーン。
こんな経験はじめてです。そして、ここではじめて気がつきました。
僕は一方的に引っ張ってもらっていたものと思っていましたが、お互いに引っ張り合っていたんだなと。
みやすのんきさんの本で読んだことある。引っ張り合いってやつだ(僕が引っ張った覚えは全くないんですが)。
もしかしたら、最後譲ってくれたのかもしれない。
いろいろな思いが錯綜して、でもうまく言葉にまとめられなくて。
シェーン「どうしても5分切りたいと思っていて、5分切れたのは引っ張ってもらえたからです。ありがとうございました!」
走っている間に何か話したわけでもないのに、言葉がなくても通じ合えるようなものがありました。
オーティスはさわやかな笑顔を残して先を行きました。
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そして、僕はパイプ椅子にへたりこんで、スタッフさんにタグをとってもらいます。
にしても、引っ張り合いをした場合のゴールの仕方の正解ってなんなんだろうなー
そんなことを考えつつ立ち上がると目の前に、
フラおじさんだ!
思わず、フラおじさんを抱きしめる、汗まみれ塩ふきまくりの31のおっさん。
フラおじさんに向かって一言。
「ありがとう」(いわきに対する感謝を込めて)
それを見て、ちょっと、というか、かなり引いてるまわりのスタッフ&ゴールしたランナー。
抱きしめ返してくれたフラおじさん、全てを包み込む包容力。
フラおじさんの優しさに包まれながら、あ~走り切ったんだ、僕。
完走証を受け取ります。
ーー
応援ナビででるやつ。
ラップです。ずれてます。
ーー
ということで、ゴール編終了。
次回、ゴール後の出来事を書いておしまいです。
つづく。